科学映像09「やきもの」

こんにちは。
科学映像09弾、今回は「やきもの」に関する科学映画のご紹介です。

「やきもの」
1957年・白黒(一部カラー)・10分51秒
製作:日映科学映画製作所 / 企画・配給:教育映画配給会社

http://www.kagakueizo.org/movie/education/4822/

●イントロ(0:14)
優しい弦の音楽、題字。
小学生たちの粘土を使った創作風景。
粘土で作った「やきもの」は粘土の質や焼く温度によって様々なものがあることを述べ、
ここでは、よく学校で作る「楽焼き」を中心に説明していく旨を説明。

●やきものの元になる粘土(1:13)
粘土は岩石が小さく砕けたもので長い間に土が変わったものであり、
色や性質もいろいろとあることを顕微鏡の画像で説明。
結晶の形や大きさなどで、
形を整えやすいものと整えにくいものがある。

●やきもの用の粘土の作り方(1:59)
やきもの用の粘土の作り方を映像と台詞で解説。
荒砕きした土に多量の水、少量の水ガラスを加え、かき混ぜる。
粘土分が水に浮き、砂やゴミは沈むので
水に浮いた粘土分を濾して粘土を取り出す。
その粘土に焼き粉(粘土を焼いた粉)を入れ粘り気を調節し、
練り合わせると楽焼きの生地ができる。
さらに生地を充分に練ることで、水分が平均し空気が抜け、
質が均一になる。

●生地で形を作る方法(2:55)
・手で形を作る「手びねり」
・「ろくろ」という円盤を回転させながら形を作る方法
・生地の板に木の葉などの形を押し付ける「押し型」
・生地に水と水ガラスを加えドロドロにしたものを石膏の型に流し込む「鋳込み」
を映像と共に説明。

●生地の乾燥(3:53)
形作った生地を空気にさらして充分にゆっくりと乾かす。
微速度撮影にて生地が乾き、
水分がなくなり粘土粒子が近寄って全体が縮まる様子を確認。
・生地の練り方が足りない
・水分が平均していない
・急速な乾燥
などは乾くに従って縮みにムラができ、ヒビが入る。

●素焼き(4:40)
学校らしき場所で素焼きの窯を使う風景。
窯の中での生地の変化を見るため、円筒の生地での観察実験。
温度が上がるに従い熱せられ、粘土中の水分・空気が表面に近いところから逃げていく。
(5:12)アニメーションで分かりやすく説明。
生地は一旦膨らむが水分・空気が生地の外へ逃げることで縮む。
生地の中の粘土の粒子同士が接近することで一層硬くなる。
生地は元の形より小さくなる。
素焼きの場合、約700〜1,000度ほど。
(5:45)急速に温度を上げて焼く実験。
素焼き中にヒビが入り割れる映像。
アニメーションでの解説。
表面だけが膨らみ、急に縮むことで
生地に歪みが生じ、割れる。

●素焼きしたものと素焼き前のものの比較(6:36)
素焼きしたものは素焼き前のものより形が小さく、
表面には水分の逃げた細かい穴がある。
400倍の顕微鏡画像。
・水に入れる実験。
素焼きしたものは水に入れても崩れない。
・硬いものをぶつける衝突実験
素焼きしたものはなかなか壊れない。

●素焼きのまま使われるもの(7:31)
素焼きの水や空気の穴を利用するもの。
・植木鉢
・ストーブや電熱コンロなどの耐熱板
映像で紹介。

●ゼーゲル三角錐(7:58)
焼く温度と熱量を正確に測る道具。
やきものの生地と良く似た生地で作られる。
土によって倒れる温度が決まっていることを利用し、
焼き上がりの温度を調べる。
素焼きの場合、約700〜800度くらい。

●陶器と磁器(8:37)
焼き上がりの温度
陶器:1100〜1200度くらい
磁器:1300〜1400度くらい
陶器と磁器は生地の作り方、焼く温度も異なるが、
見た目には似ている。
陶器と磁器を見分ける実験。
陶器は光を通さないが
磁器は光を良く通すことを電灯で実験。

●上薬(釉、うわぐすり)(9:08)
上薬はやきものの表面を覆うガラス質の膜で、
楽焼きの場合、使用するのは炭酸鉛、白玉、珪石粉末を混ぜたものなど。
上薬にはやきものを美しく仕上げるばかりではなく、
汚れや水を吸うのを防ぐ効果もある。

●やきものへの絵や模様(9:31)
カラー映像。
素焼きに模様を描く子どもたち。
さらに上薬をかける様子。
窯に入れて熱すると上薬は溶けて
次第にガラス質になる。
絵の具の色が変化して、濃く鮮やかに。

●エンディング(10:17)
窯からやきものを出す、先生と子どもたちの映像。
「美しい様々なやきものは、粘土と高い温度のはたらきが組み合わさって生まれるのです」
との台詞、やきものの映像で幕を閉じる。

「やきもの」についての素材や工程の基本に関する科学映画でした。
部分部分で顕微鏡の画像やアニメーションでの説明など
分かりやすく「やきもの」についての科学的映像・解説になっていました。
教育映画として分かりやすい流れになっています。

日常

Posted by otsuki